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第15章 いならいはし隠目 章71第
「ガキじゃねぇんだからすぐに覆い被さったりしねぇよ。」
「わっ、分かってますよっ…」
分かってねぇ…。
堪えてやってんだよバーカ。
「意地張ってないで入れ」
観念したのか、桜は靴を脱ぎ出した。
最初からそうやってすんなり入りゃいいのに。
フッと笑って俺は紅茶の用意をしようとキッチンに向かった。
「……お邪魔します」
「ん」
ヤカンに火を掛けて、息をついた。
「………………──」
ポットに茶葉を入れる。
作業を進めながら、同じことをしたあの雨の日のことを思い出す。
桜が泣きながら店に来たあの日……。
雨に打たれたまま、
ボロボロで…苦しそうで…
あの時は本当に見てられなかった。
心配で堪らなくて……
でも頼られたことが嬉しくて……
色々と感情が交ざりに交ざって、どうしていいか俺も途方に暮れたけど
まぁ……今となっちゃいい思い出なのかもしれない。