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第3章 し隠目 章1第


桜は

いつも日によって三種類の違う香りを纏っている。



一つ目は多分桜んちの。


あとの二つは多分…男んちの。



別に聞いたわけじゃねぇけど俺の勘だと多分そうだ。



そんで、ジャスミンっぽい香りを漂わせてる日は、特に苦しそうで辛そうな…そんな顔をしてる。



ジャスミンなんてそんな女しか買わなそうなシャンプーを置いてる家ってことは


その男には他に女がいるってことなんだろう。




こんな、
バカみてぇに推理ばかりしてる自分に呆れてくる。




ジッと画面を見続けたままの桜。



今連絡を寄越してきたのが…どっちの男か、ていうか男かどうかも正確には分かんねぇし、関係ねぇのは重々承知している。


が───




「お前さ…」



気付いたら、そう声を掛けていた。




「……悩みあんだったら言えよ」



軽く目を見開いて驚いたような素振りを見せる桜。



そして…



「父親気取りですか?」



……ガクッときた俺は、それを隠すようにバーカと言葉を返して再びタバコの煙を桜に浴びせてやった。



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