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第19章 満不のへ人恋 章22第



………引っ掛かんねぇぞ、俺は。36歳の大人をナメるな。


パッと桜の前で手を開いて、水しぶきを飛ばす。




「ちょっとっ……!」


「そういう気を遣うんだったら、俺が作ったもん全部食えよ」



桜は少し言葉を詰まらせたあと、だって…!と何やら言い訳をしようとしている。



でも、言葉が続かないらしい。そりゃあそうだ。この状況で俺に言い返せるわけない。


皿を洗い終えて桜を見ると、まだムッとしながらあれこれと考えを巡らせている。


本当に顔に出やすい……。そんなことで一々機嫌損ねんなよ、ったく。


膨れている顔についている水滴をタオルで拭うと桜はハッとして俺を見上げた。



「……紅茶?コーヒー?」




どーせ紅茶って言うんだろうが。




「…………紅茶」




ほらな。



適当に返事をして、俯いている桜の頭を軽く撫でる。


結局こうやって機嫌を取りたいがために甘やかすのがいけないんだろうか。


そんな事を思いながら、俺はヤカンに火をかけた。




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