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第19章 満不のへ人恋 章22第
明らかに引き止めるその仕草にトクンと胸が鳴る。
「………何だよ」
振り返って、桜を見ると、それと同時に桜は手を離して俯いた。
「っ……何でもないです…」
「───────…」
みるみると紅くなっていく桜のつむじを見て、まんまと胸がかき乱される。
どうにもこうにも堪らなくなって、時計を見た。が…やはり、もう出ないと間に合わない。
こいつ、俺を試してんのかっ…
もちろん、桜にそんなつもりはないってことは分かってる。
だから余計にイライラしながら、俺はずっと俯いている桜を顎を掴んで上を向かせた。
「……昼には戻るっつってんだろ」
「………んっ…」
軽く触れるだけのキスで何とか我慢して、チラと桜の顔を見下ろした。
案の定、物足りなそうな顔をして俺の事を見つめている。
「っ………」
………本当に勘弁してくれ…
パッと視線を外した俺は、桜の要求に気付かないフリをして、そのまま何とか家を出ることに成功した。
家の鍵を閉めた後、はぁあ…と深く溜め息を吐く。
夜、無防備な姿を晒して爆睡してたくせに…何で時間がない今になって、誘ってくんだよっ……
「ったくっ……」
自分の頭をガシガシと掻いて、無理矢理に仕事モードにもっていく。
面接したら…買い物行く前に一旦帰る…か。正直我慢の限界だ。
早速予定を変更した俺は、自分で乱した髪を軽く整えて、店へと向かった。