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第19章 満不のへ人恋 章22第
葵が帰るのを見送った後、俺は足早に自分の家である2階へ向かった。
年甲斐もなく胸を弾ませて、頭の中は人に言えないことで一杯になっている。
そして、鍵を開けてノブを掴んだところで体が止まった。
………これって…ただいまって言って入るべきなのか…? いや、でも、ここは俺んちで…桜は泊まりに来ているだけ…だ。
長い独身生活のせいで、『ただいま』なんていう習慣はとっくに抜け落ちている。
仮に、だ。
俺が『ただいま』と言って入ったら、あいつは『おかえり』と返すんだろうか。
………まあ、それは…悪くねぇな。
「………………」
バカバカしい……。
余計な事を考えるのをやめた俺は、結局無言で扉を開けて、中に入った。
が、全く音がしない。
わざとらしく咳払いして帰った事を知らせるが、それでもやはりテレビの音すらしねぇことに片眉を上げた。
別に、笑顔で飛びかかってくるとは思っちゃいない…が。
嫌な予感がする……。
そのまま部屋の奥に歩みを進めると、案の定ベッドに無防備に横たわる桜の姿が見えて、大きく溜め息を吐いた。