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第3章 し隠目 章1第
じゃあまた、と言って大きな花束を抱えて帰っていたおばさんに頭を下げる。
そして、顔を上げると、親父がどうした、と声を掛けてきた。
「いや…別にどうもしねぇけど」
「母さんなら奥にいるぞ」
「ああ、あとで顔出す…」
先ほどの花束を作った後片付けをしている親父の背中を見ながら、何となく切ない気持ちになった。
随分小さくなった。
この仕事が楽じゃないのは幼いときから見てきたから分かってる。
「親父…体、大丈夫なのか」
「……余計なお世話だよ」
相変わらずぶっきらぼうな親父の返事を聞いて、俺はあご下のヒゲを掻いた。
「お前は…どうなんだ」
「いや……見ての通りピンピンしてる」
「そんなこたぁ分かってる。聞いてんのは店のことだよ」
「ああ……まぁぼちぼち」
聞いてきたくせに、そう答えたら、親父はまた黙ってしまった。