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第3章 し隠目 章1第


何の気なしに、深く息を吸い込んだ。



懐かしい植物たちの香り。



昔から嗅いできたから、ここにいるとやっぱり落ち着く。




「拓也とは、会ってんのか?」



突然、黙りこくっていた親父に話し掛けられて、親父に視線を移した。




「いや、最近は会ってねぇ」



俺には、2つ上の拓也という兄貴がいる。




俺がそっけなく答えると、親父は、そうか。と言ってまた黙ってしまった。




兄貴か俺か、どちらかに継いで欲しいって、そう思っているんだろうか…



でも、親父からそういう話をされたことは一度も無い。




何となく、そんなことを考えながら、花を見渡した。



何か買ってくか。



丁度、店の前の花壇に何か新しいのを植えようと思っていたところだ。




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