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第20章 輩後 章32第
明らかに何か言おうとしたのに、桜は誤魔化したいのか、もぞもぞとベッドの上で動いてじっと俺のことを見ている。
「なんだよ」
「着替えるからあっち向いてて下さい」
「あ??」
さっきまでしていたことを考えたら今更な要求に俺はフッと笑った。
「今更何言ってんだか」
「い、いいから早く!」
ムキになっている桜がなんとなく面白い。
ことが終わってしまえば、素直だった桜も普段通りに戻る。
「お前の体なら、さっき隅々までしっかり見たけど」
「う、うるさい」
「はいはい」
桜に言われた通り、キッチンの方へ向かいながら、紅茶の準備に取り掛かる。
これまた本人は無意識なんだろうが、桜はとにかくギャップがやばい。
普段ももう少し素直になってくれれば……
あれこれと考えながら、用意を進めているならで、俺はハッとして「あぁ、そういえば」と桜に声をかけた。
「今日、一人採用した」
今朝採用した葵のこと、言ってなかった。
「採用……?」
「あぁ」
着替えが終わった桜は、腑に落ちなそうな顔をしながら、机まできて椅子に座った。
「大学生とか言ってたかな、明日辺りから入ると思う」
「大学生?」
そう言い返して、斜め下に視線を向けながら、あれこれと考えている。
「葵(あおい)って言うらしい。ちょっとまぁ、なんというか……手が掛かりそうではあるんだが」
そう言いながら、俺は面接だけであたふたとしていた葵を思い出す。
桜と葵。
2人を会わせたらどうなるのか…正直少し楽しみだ。