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第20章 輩後 章32第
「もっと丁寧な教え方あんだろが……」
「あ、いえいえ、分かりやすかったです!」
そう言いながら、葵がメモをポケットにしまっている。
あんな説明をしてよしとする桜も、あんな説明で分かったという葵もどちらも恐ろしい。
「誰かさんに教わったままに教えただけなんですけど」
訳の分からないことを言っている桜に「あ……?」と返事をする。
そんな風に教えた記憶はない。
桜の初日のことはもちろん覚えているが、余計なことの記憶ばかりであまり業務のところの記憶がない、というのが正直なところだ。
まぁいい。
やってみないとできるようにはならねぇし、難しいことはないはずだ。
葵のことは桜に任せて、俺はカウンターの中へ入って仕込みを進めた。
そう思いながら作業しても、桜との葵のことが気になって仕方がない。
内容は聞こえてこないが、何かを話しているのが分かる。
楽しくやれているのならいいが……
さっきの桜の態度を思い出して、んん…と小さく唸る。
作業も最低限早々と終わらせた俺は、居ても立っても居られずカウンターから出て、再び桜との葵のところへ向かった。
へへへと葵が笑っているのが聞こえる。
心配は無駄だったかもしれない。
ほっとしながら、2人にさらに近づいた。