この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
bloʇbnilᙠ
第20章 輩後 章32第
今日は週末だから、遅くなればなるほど、人が増えていく。
ひっきりなしのオーダーに対応しながら、俺は額の汗を手の甲で拭う。
やっぱ、どう考えてももう1人雇ったのは正解だった。
もちろん葵はあわあわしていてまだ一人前とは言えないが、それでも筋は悪くない。
そんな中で、カランと扉のベルの音が鳴って、いらっしゃいと声を掛けると、見たくもねぇ顔に、思わずチッと舌を打った。
わざとらしく、俺にひらひらと手を振ったそいつは、いつものようにスーツを着ている。
そして、すぐにフロアを見渡して桜を見つけると、また不敵にニヤリと笑った。
奴の名前は確か北野 悠(きたの ゆう)。
数ヶ月前に桜をナンパしてきてからというもの、桜目当てにこの店に通ってきている。
身なりは悪くなく、年齢も桜ときっと同じくらいでとにかくムカつくやつだ。
今すぐにも追い出してやりたいが、桜も適当にあしらっているようだし、一応客だから黙認している。
流石に、あんな得体の知れないやつに桜が靡くことはないはずだ。
どう考えたって俺の方がマシだし、あんなやつに妬く価値もない。
そう思いながらも、チラチラと桜と北野の様子を見てしまう自分を情けない。
そんなことより初日の葵を気にかけてやる必要があるが、
心ここに在らずな状態になっている自分に気付いて、襟足を掻いていると、北野のオーダーを取った桜が近付いてきた。