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第20章 輩後 章32第
しばらくして
最後のお客が退店すると、桜が無気力に「ありがとうございましたー」と声をかけ、店の外に出た。
初日の葵を労うために、葵の様子を見ると、完全に燃え尽きた様子でカウンターにへたれこんでいた。
軽く笑ってそばに行くと、葵は俺に気付いたのか顔を上げ目いっぱいに涙を溜めた。
それにギョッとして思わず隣に座る。
どうせ、上手くできなかったとかなんだとか思っているに違いない。
「おい、そんな落ち込むなよ。悪くなかったって」
「……ダメですよっ…全然……店長にも……桜さんにも迷惑ばっかりかけて……っ…グラスだって割っちゃうし……」
葵がそうブツブツと言っている後ろで扉のベルがカランとなる。
看板を変えた桜が戻ってきたんだろう。
そして桜はそのまま店の奥へと向かっている。
「お客も言ってたろ? 初日なんかそんなもんだよ」
俺のフォローが響かないのか、葵が押し黙る。
もっといい励まし言葉がないかと考えあぐねていると、葵が再び顔を上げた。