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第21章 現実
ソファーの上、すやすやと寝息を立てて眠っている桜の姿を見て、ホッと胸を撫で下ろす。
とりあえず無事で良かった。
「世話んなった」
そういうと、幸は、俺の名前を呼んだ。
「あの店はもう長らく桜ちゃんと2人でやってきた店でしょ」
幸が何を言いたいのか分からず、黙って聞いていると幸はそんな俺の様子を見て、バカねぇとつぶやいた。
「考えがあってのことなんでしょうけど…新しく誰か入れるなら、桜ちゃんにも相談くらいしなさいよ」
「…………それは…」
確かに…そう、だな。
突然そんなことを言われて、またピンときた俺は、ため息をついてその場で項垂れた。
桜は葵と会ってから不機嫌になったわけじゃなかった。
思えばその前から………新しいやつを採用って話をした時から様子がおかしかった。
「不機嫌だった理由はそれ……か…」
「それだけじゃないわよ」
うっと声が詰まった俺は恐る恐る幸を見る。
やっぱ、幸には色々と言ったらしい…な。
「なんか……言ってたか」
「その子に優しくしすぎちゃダメよ」
「は………?」
「まぁ、そんなこともないんでしょうけど、ね。好きだとそう見えちゃったりするのよねぇ」
幸の言いたいことが分からず、片眉を上げると幸は桜に近付きながらはぁとため息をついた。