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第21章 現実


「前に言ったでしょ、桜ちゃん考えすぎちゃうところがあるって」


「あぁ……」


「この私と達也の仲を疑ってたくらい…ね」



確かにそんなこともあった。


ホント、おぞましい勘違いってやつだ。


でもそれが何と関係があるのか。


毎度のことながら、幸はいつも俺の反応を見て楽しんでいるのか周りくどい言い方をする。


結局どういう事なのか、聞こうとしたところで幸は寝転ぶ桜に顔を近付けた。



「さくらちゃーーーーん」



幸の呼び掛けに、んん……と桜が唸る。



「じゃああとはよろしく」



楽しそうな様子でウインクした幸に、小さく息を吐いて、俺は桜に近付く。


そして、桜の体を起こそうと顔を近付けたら酒の匂いが漂った。


桜は酒が強い。だから、潰れたところなんてほぼ見たことがない。


だがこの様子だと、相当呑んだに違いない。



「帰るぞ」



ぼんやりと目を開ける桜は、じっと俺の顔を見たあと、ゆっくりと口を開いた。



「……ムカ…つく……」



……………そっすか…。


迎えに来て、一発目に言われる言葉がそれとは、な。



「分かったから、ほら」



そう声を掛けて俺は桜をおぶると、そのまま幸と兄貴にじゃあと声を掛けて、自宅へと帰った。



道中、桜はずっと俺の背中でスゥースゥーと寝息を立てていた。


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