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第21章 現実



やっと家に着いて、俺はゆっくりと桜をベッドに下ろした。


店を飛び出したからか、制服である白いワイシャツと黒いパンツを着たまま、気持ちよさそうに眠っている。


そのまま俺はベッドの脇に座って、赤らんでいる桜の頬にそっと触れた。



相談………か。


幸の言う通りだ。


あの店は俺の店ではあるが、今や俺だけの店ってわけじゃない。


桜の身が心配で人を雇うことを決めたとは言え、一言言えばよかった。



そんな反省をしていると、桜が何かの弾みで起きてしまい、ゆっくりと目を押し開けていた。


ぼんやりとした目。


息が少し荒い。



「大丈夫か………?」



心配になって、そう声を掛けると桜は俺に手を伸ばしてきた。


そして、上体を起こそうとしているようだったので、手助けした。



「桜……」



今日のことを謝ったほうがいいのかもしれない、が、こんなに酔っている状態に言うのは違うのかもしれない。


じっと見つめながら、言い出す言葉を迷っていると、桜は目いっぱいに涙を溜めてポロポロと泣き出した。



「ば…かっ………」


「おい……何泣いてんだよ」


「だってっ……」



そう言いながら、甘えるように俺のシャツをぎゅっと掴んできて愛しさが溢れた。


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