この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
bloʇbnilᙠ
第21章 現実
やっと家に着いて、俺はゆっくりと桜をベッドに下ろした。
店を飛び出したからか、制服である白いワイシャツと黒いパンツを着たまま、気持ちよさそうに眠っている。
そのまま俺はベッドの脇に座って、赤らんでいる桜の頬にそっと触れた。
相談………か。
幸の言う通りだ。
あの店は俺の店ではあるが、今や俺だけの店ってわけじゃない。
桜の身が心配で人を雇うことを決めたとは言え、一言言えばよかった。
そんな反省をしていると、桜が何かの弾みで起きてしまい、ゆっくりと目を押し開けていた。
ぼんやりとした目。
息が少し荒い。
「大丈夫か………?」
心配になって、そう声を掛けると桜は俺に手を伸ばしてきた。
そして、上体を起こそうとしているようだったので、手助けした。
「桜……」
今日のことを謝ったほうがいいのかもしれない、が、こんなに酔っている状態に言うのは違うのかもしれない。
じっと見つめながら、言い出す言葉を迷っていると、桜は目いっぱいに涙を溜めてポロポロと泣き出した。
「ば…かっ………」
「おい……何泣いてんだよ」
「だってっ……」
そう言いながら、甘えるように俺のシャツをぎゅっと掴んできて愛しさが溢れた。