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第21章 現実
素直に謝ろうとすると、桜は目を開いて俺を見上げた。
その涙目と赤らんだ顔に、自分のせいで泣かせているにも関わらず思わず胸が高鳴った。
「もっと、私のこと……見てっ……」
素直に叫ぶ桜の姿に目が釘付けになる。
「っ…ていうかっ………他の女に構わないでよっ……」
他の女……って誰だ…。
そんなことを考えている間に、桜はムッとして俺の胸を叩いてきた。
「店長は……私のっ……私の彼氏でしょっ…!」
ポタポタと涙が落ちるのを俺は呆然と眺めた。
てか……いくら酔ってるとはいえ、キャラ違いすぎないか…?
普段も胸の中では言いたいことがたくさんあるってことなのだろう。
我慢させているってことか…
それにしても、さっき言っていた他の女っていうのは……
あれこれ考えているうちに、桜は泣きながらゆっくりと両手を伸ばすと、そのまま俺の首に腕を回し、苦しいほどに突然抱きついてきた。
「おい……桜、落ち着けって」
「うるさいっ………」
首を掴んだまま、体を離した桜は顔を近付けてきた。
『キスしたい』って顔に、馬鹿みたいに心臓が鳴る。
………なんか、この状況まずいな。このままだと完全に飲まれる気がしてならない。
「好きっ………大好きっ…」
「っ…──────」
案の定桜に急に唇を塞がれて、体がゾクゾクとするのが分かった。