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第21章 現実


あー……ったくっ……


これは完全にまずい。


酔ってるからいつもと違うってのは分かってる。


それに、問題を解決しないまま流されるって言うのは非常に良くないことも分かってる、が。



───────────好きっ………大好きっ…



あの天邪鬼な桜が、素直に気持ちを伝えてきた時の破壊力たるや……。


想いとは裏腹、キスに応えるように俺は桜の後頭部に手を添え、舌を絡ませる。


ダメだ。全然冷静になれやしないし、むしろもっと欲しいという気持ちが先行している。


こういう時、男っていうのは本当に情けねぇ。



「さくらっ……」



「優しいのはっ……私に対してだけでいいの…!」



桜の叫びは止まらない。


潤んだ目に、赤い顔、さっきまでのキスで完全に溶け切った表情が俺の心を掻き乱す。



「わたしだけに……優しくしてっ……」



極め付けにこんなことまで言われて………これでやられない男がいるなら会わせて欲しいものだ。


堪らず桜の頬に手を添えて、止めどなく溢れる涙を親指で拭った。



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