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第21章 現実

「だから……っ…」



桜は感情の表現や、言葉も足らないし、色々と不器用だ。


でも、変に手を抜いたりしない。


本人が思ってるよりも、純粋で、一生懸命な性格だ。




「それじゃあ意味ねぇだろうが」



強く抱きしめると、桜の体の力が抜けたのが分かった。


そうやってもっと肩の力を抜いて欲しい。


もっと俺に寄りかかればいい。


そういう桜が安心できる場所になれれば、って俺はそんなことしか考えてねぇんだから。




「意味が分かんないっ……」


「頑張らせたくねぇんだよ」


「………なんでよ…」



体を離そうと力を入れた桜を拒むように、俺はさらに力を強める。




「なんでって……。そりゃ……」



それ以上頑張る必要ないから、だろ。


家にいたって疲れ切ってんのか寝てばっかだし。



ゆっくりと体を離して、桜を見つめる。


まだ乾き切らない涙が頬を濡らしている。


そして、キョトンとした表情を見せる桜に、また胸が締め付けられた。


たまんねぇなぁ、本当。


正直、桜がかわいくてかわいくて仕方がない。


俺は、そのまま見つめ返してくる桜の頬を掴んで、再び唇を塞いだ。



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