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第22章 主い飼 章42第
お椀を掴んでしばらくじっとしていた桜は、そのままゆっくりと味噌汁を啜って微睡んでいる。
昨日のことについて、一切何も言ってこない。
どちらが言い出すか、って感じだろうか。
そんな状況が気持ち悪くて俺は意を決して口を開いた。
「昨日は、悪かった」
突然の謝罪に桜は、え?って顔をして味噌汁の入ったお椀を置いた。
照れ臭いというのか、バツが悪いというのか、とにかく俺は目線を桜から外して、誤魔化すように灰皿にタバコの灰を落とす。
「………葵を入れる前にお前に一言言うべきだったな」
黙りこくっている桜が気になって、チラと様子を見ると、何とも言えない表情をしている。
そして、最後に口をぎゅっと引き結んで軽く首を傾げると、ゆっくりと俺の方を見てきた。
「…あの……私、何時にここに来ました…?」
…………ま、じ、か………
あまりの衝撃に言葉を失っていると、桜はそんな俺の様子を見て不安そうに目をキョロキョロさせた。
「お前……どこまで記憶あるんだ」
俺の質問に今度は桜が気まずそうに視線を外す。
「幸さんのところに行って……お酒飲んで、それで…」
流石にそこまでは記憶がある…か。
いや、どちらかというと問題はそこから……なんだが。
「どうやって帰ったかとか……は分かんない…です」
……なるほど…。
安心した方がいいのか、ガッカリした方がいいのか、よく分からない状況に俺は小さくため息をつく。
いや、予想はしていたんだが……
まさかそんな丸っ切り記憶が抜け落ちてるとは…。
「………なん、デス…カ」
不安だからか、桜も変にカタコトみたいな発音になっている。
なんとなく気が抜けた俺は椅子の背もたれに寄っかかって天井にタバコの煙を吐いた。