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第22章 主い飼 章42第
1人になって、はぁぁ……と深いため息を吐く。
まぁこれで良かった…んだろう。
桜に知られずに、桜の気持ちを知れたってことだ。
だが……
「…………っ」
バカみたいに恥ずかしいことを何度も桜に口走ったにも関わらず、それは桜の記憶に一切残ってねぇっていうのは何とも虚しい。
それに、桜の中で昨日のことはまだ俺とちゃんと話せてなくて、終わってない話なんだろう。
葵絡みの訳の分からない不安も誤解もそれとなく解いてやらなきゃいけねぇってこと…か………
まぁそもそもあんなに酔っ払っている相手に大事な話をする方が間違ってる。
流されたとは言え、俺は少し反省しながら、立ち上がった。
紅茶……入れてやるか。
ゆっくり、ちゃんと話した方がいいってことに変わりはない。
そのまま何をどう切り出すか考えながら、紅茶の準備をしていると、ちょうど紅茶が出来上がったところで桜が風呂場から出てきた。
「上がったか。ちょうどだったな」
桜のマグカップに紅茶を入れながら、とぼとぼと元気なく歩く桜を見る。
「まだ体調わりぃなら、その辺の薬、適当に飲めよ」
今朝買った薬たちを顎で示すと、桜は薬の入ったビニールの方へ行き中を見ていた。
「店長……っ」
呼び方戻ってるし……。
まぁ……そりゃ…そうか。
少し落胆しながら、俺は「ん」と返事をする。
「昨日は………すみません…でした」
突然、桜が震え声で話し始めたので何かと思うと、勢いよく頭を下げているのを見て、目を見開いた。
先越された…な。
そんなことを思いながら、桜の方に近付くと桜ゆっくりと顔を上げて俺のことを見た。