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第22章 主い飼 章42第
「おい、またそうやって余計なことあれこれ考えるな」
「だって……聞いたら気を遣えとか言うから」
「んーーー」
そういうことじゃねぇんだよなぁ…。
うまく言いたいことが言葉にならず、頭を掻いていると桜はフッと力を抜いて椅子に座り込んだ。
「まぁでも……確かに………余計なこと、考えすぎてたかもしれない、です」
呟かれた桜の言葉が体に染み込む。
「そうだな」
長らく望んでいたものが手に入って……
それは想像した以上に俺の生活に色をつけた。
あんまりに愛しい桜を絶対に手放したくねぇって思いから、色々と先回りして、自分がフォローしていこうとしていたのが空回りしてたのかもしれねぇ。
相手を想っているのは、俺だけじゃない。
桜も、同じように俺のことを考えてくれているっていうのを忘れないようにしねぇとな。
「もう少し言葉にしてくれると助かるんですけど…ね」
「お前に言われたくねぇよ」
呆れてそういうと、桜は何も言い返すことなく、「ん…」と声を出している。
まぁ、結局、言葉足らずはお互い様、ってことだ。
そう思いながら、すっかりぬるくなってしまった紅茶を飲み干した。
1人で考えすぎず、桜に伝えていく努力をしてもいいかもしれねぇ。
なかなか難しいが、それで桜が逃げることはないはず、だ。
ふぅと息を吐くと、桜は軽く立ち上がって俺のマグカップの中を覗き込んだ。