この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
bloʇbnilᙠ
第23章 さ尊 章52第
「新入りちゃん、面白いねーー!!」
「ごめんなさい……っ、私声大きかったかな…」
客のやじとも言える言葉に葵は今更ハッとして赤面している。
しかも釣られたのか桜も顔を赤くしているのを見て、頭を掻いていると、先程声を掛けてきた客がまた笑った。
「いやーー。確かにね、ここの常連はみんな新入りちゃんと同じ気持ちだよ」
同じ気持ち……つーのは…
「どういうことっすか」
状況を飲み込めず思わずそう俺が声を掛けると、知った香水の香りが鼻を掠めた。
「だから、分かりやすいって言ってるでしょ。バレバレなのよ、あんたの気持ちなんか」
聞き覚えのある女の声。
偉そうで、なんでもお見通しっていう言い方をするやつはもちろん
「っ………幸」
こいつしかいない。
なんでこんなタイミングで……。
そんな俺の慌てる様子を見て、幸はフッと笑う。
「あなたたち、見てると焦ったくて面白いもの。そんな様子が見たくてこの店に通ってる人、少なくないと思うわ」
そう言いながら、カウンターに腰掛けると、桜の方を見て微笑んだ。
「こんばんは、桜ちゃん」
「幸さんっ……あ、昨日本当っ……」
「あー! 遊びに来てくれてありがとね〜!楽しかったからまた来てね」
幸の言葉に桜は静かに頭を下げる。
はぁとため息を吐こうとしたところで、ヤッホーと呑気な声に、俺は顔を引き攣らせた。
能天気で鈍感、そして童顔を隠すためのわざとらしいヒゲ。
「拓也さんまでっ……ど、どうも」
兄貴の姿を見て、桜が挨拶している。
「さっきのはどういう意味だよ!」
そんな2人の会話を遮るようにそう叫ぶと幸は桜見せた笑顔を引っ込ませて真顔で俺のことを見た。