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第23章 さ尊 章52第


「軽い気持ちでカマかけたつもりだったけど、ホントなのね」


「……っ…………」


「そっかぁ、昨日のかわいい桜ちゃんに迫られたら、そりゃ我慢できないわよねぇ」




嵌められた─────


なんでこんなやつに面白がられて俺は私生活を暴露してんだ……。


そして、兄貴がふぇ〜と変な声を出している。



「当たり前だけど……やることやってんだなぁ。そうだよなぁ大人だもんなぁ」


「お前は黙れっ…」


「あの桜ちゃんに好きとか言われて…迫られる…のか……」



そう呟きながら明らかにゲスい想像をしてる兄貴の表情を見て、俺は思わずカウンターから身を乗り出して兄貴に凄んだ。



「な、なんだよ」


「桜で変な妄想すんな。兄貴だろうとなんだろうとぶっ殺すぞ」



ひぇ〜〜とまた情けない声を出す兄貴の隣で幸が笑っているのが聞こえる。



「羨ましいなぁと思っただけだろ? てか妄想しただけで、俺殺されんの? 弟に? ひでぇ話だなぁ…」



半ばふざけた様子の兄貴に、チッと舌打ちを打つ。


頭ん中だろうとなんだろうと、人の女に手を出すなっつーの。




「溺愛に拍車がかかってるわね」


「……どうとでも言え」


「かっこつけちゃって」



頼むから早く帰ってくれ……


一応は客の2人にそんなことを思いながら、俺はひたすらに耐え忍んでいた。





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