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第23章 さ尊 章52第
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閉店後、しばらく締めの作業をしている中で、また葵が電車が!と叫び出した。
……昨日と全く同じ。
学ばないその姿に呆れる間もなく店内を走っている。
「お、お疲れ様でしたーーー!」
ベルのカランという音だけが虚しく響いた。
作業もひと段落した中で、桜と2人きりになる。
こんな状況、今までいくらでもあったって言うのに、なんとなく変な空気が漂っているのを感じ取って、俺はタバコに火をつけた。
桜は、ふぅと息を吐いてカウンターの椅子に腰掛けている。
顔を見ずとも、桜がこっちの様子をチラと伺っているのが分かる。
今日の葵と客の話から、なんかまた返答に困ることを聞かれるような気がしてならない。
「店長………」
早速呼ばれて、俺はタバコを吸いながら「ん」と返事をした
「いつ、どの瞬間で、私のこと、好きになったんですか…?」
やっぱりな……。
幸と兄貴が帰って解放されたと思いきや、今度は当の本人から…だ。
「…………聞いてどうするんだよ」
軽く項垂れて、俺はタバコの煙を床に向かって吐いた。
「どうもしないけど………」
「んん……」
どうもしないならそっとしておいてほしいもんだ。
「別に…明確にいつ、とかねぇよ」
「……明確じゃなくてもいいけどさ」
好きになった日……か。
ぼんやりしている中で桜がすっと灰皿を差し出してきた。