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第4章 店お 章3第
「私が言わなくたって惚れてたくせに、片思いなのが気にくわないからって私のせいにしないで」
「……うぜぇ…」
そうやって、言い負かされたことも。
“片思い”というガキ臭い言葉を使われたことも。
何もかも腹立たしい中、俺は懲りもせず着替えを済ませて出てきた桜を見つめた。
伏し目がちに流しへ向かって、手を洗おうとしている。
やっぱ元気ねぇ。
タバコを咥えたまま桜の元に歩き出した俺を見て、幸がフッと笑っているのが分かった。
勝手に笑っとけ。
別にどう思われたって構わねぇよもう。
バカだってことは自分が1番よく分かってんだから。
「桜」
俺がそう呼ぶと、ぼんやりしていたのか、桜は微かに体を震わせて振り返った。
その瞬間に香ったジャスミンの香り。
そして目はさっきまで泣いてましたと言わんばかりに赤くなっていた。