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第25章 ち持け掛 章72第
ソーダの味が口の中に広がって鼻を抜ける。
子どもの時に食べた時の記憶が蘇る……けど、こんなシューシューなるものだったか…。
ふん……と息を吐くと、葵は俺のことをまじまじと見ながら笑みを浮かべた。
「…………どうした」
飴を舐めているせいでうまく話せない。
だけど葵はそんなことを気にすることもなく、ハハと笑う。
気味が悪い。
どう考えても何か企んでそうな、そんな笑みだ。
「なんでもないですよ〜。じゃあ私帰りますね!あー!そうだ、私急に暇になったんでシフト入れるだけ入りますね〜!」
「……ん……? あ、あぁ」
ヤケに元気よく言うので腹の中を探ろうとするが桜のようにはいかない。
「まぁ、桜もいるし、あんま無理はするなよ」
「えっ……さ、桜さん?? 私桜さんの話なんてしてないですけど…っ…」
「……………? 何を慌ててるんだ」
桜の名前を出した途端に挙動不審になる葵は、俺の問いにさらに慌てると、終電を急ぐ時間でもないのに逃げるように去っていった。
………知ってはいたが、葵は変わっている。
桜の事を慕っていて、最近2人でよく会話してるが……
考えても分からないことを考えたって仕方ない。
頭をかいた俺は小さくなった飴を勢い余って噛んだ。