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第25章 ち持け掛 章72第
「なんかあったのか……?」
「いや、あの、実は…親戚の叔母さんがいるんですけど…」
とりあえず、桜自身に何かがあったわけではなさそうだ。
それにホッと胸を撫で下ろし、淡々としている桜の話を聞く。
「具合が悪いらしくて。母親から電話があって。家族みんな含め調整つきそうなのが私だからっていうので、しばらく看病をお願いされていて……」
「………あぁ」
正直桜の身の上の話を聞くのは久々だった。
ちょっと前実の姉貴とその旦那とゴタゴタあってから、敢えて触れていなかった。
そもそも、叔母がいるってこと自体初めて聞いたことだ。
「だから…申し訳ないんですけど…少しバイトの日数を減らしたくて」
話し終えた桜に、「分かった」と返事をする。
すると、桜は「あの…」と申し訳なさそうにさらに言葉を続けた。
「出来るだけ忙しい曜日は出るようにするんで」
自分が悪いわけでもないくせに、何故か罪悪感を感じている風の口ぶりに、俺はふん…と息を漏らした。
そんな大変な時に、何も悪くない桜相手に禁煙のイライラを向けていた俺の方が罪悪感を感じるべきだ……。
「いや、別に無理しなくても大丈夫だ、何とかなる」
「ありがとうございます」
「とにかく、無理してお前自身が体調崩したりしないように気を付けろよ」
その自分の言葉が少し前にお袋に言われた言葉とリンクして、俺は自嘲気味に笑った。