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第25章 ち持け掛 章72第



「だから! とりあえずこれを黙って預かっててくれ!! 」


「なんだよこれ」



仕方なくこの紙袋を受け取ってチラと中身を見る。


その一瞥だけで分かる、禍々しさというか何とも言えない雰囲気に俺は無意識に目を逸らして兄貴を睨んだ。



「お前、バカだろ」


「っ……兄貴をお前呼ばわりすんな」



バカは認めるんだな。



「……気持ち悪りぃ……いい歳してこんなにAV溜め込んでんじゃねぇよ」


「うっ…うるせぇな!!! お前は桜ちゃんいるからいいかもしれねぇけど俺は1人なんだよ……っ」




言い分は分からなくもない。


そりゃ俺も男だし、学生時代とか離婚してからの独身時代にもこういうもんを見なかったわけじゃねぇ。


が、量が多すぎるだろ。


しかも今の時代レンタルでもネットでも簡単に見れるってのに、わざわざ買ってコレクションしてるって言うのがさらに気持ち悪さを助長させている。



「こんなもん置いとけねぇ、部屋が腐る」


「っ……んなっ…」


「第一ここには桜も来るんだ」


「た、タンスでも何でもどっか隠せる場所あんだろ!?」


「他当たってくれ」



軽くいなして、紙袋を突き返そうとすると、兄貴は真顔で俺に迫って来た。



「おい、達也?」


「………っ…なんだよ」


「かわいい彼女いるからって調子に乗るなよ。まだまだガキだったお前に、はじめてのエロ本貸してやった優しい兄貴が俺だってこと忘れたわけじゃねぇよな?」



そんなことに恩なんか感じるわけがない。


………つーか……こんなにバカバカしい会話があるか。


もういい大人…。中年の男2人なんだぞ……。


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