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第25章 ち持け掛 章72第




結局押し付けられた大量のAVの入った紙袋。



兄貴はいつもの暴力的な笑顔で「よろしく!」と叫ぶとそそくさと帰っていった。



「あいつほんと……バカだろ」



いい歳して親が家の片付けに来るのも、


こんだけAV溜め込んでいるのも、


それを弟に必死の顔して預けにくるのも、


全てが情けなくて俺は、兄貴を哀れに思いながら紙袋を掴んだ。



もともとそんなに物がないこの部屋に隠す場所なんかない。


仕方なく普段開けることの少ない小さな押し入れの中にそれを突っ込む。


バカバカしい………


そう思いながらふすまを閉めて、俺は無意識にタバコを探す。


本当に朝っぱらからストレスの溜まる出来事だった。


桜にも会えてねぇし禁煙も始めたタイミングに本当に最悪だ。



イライラしながら、キッチンの前で足を止めた俺は、台に手をつきながらふぅと息を吐く。


そして、先程閉めた押入れをぼんやりと眺めたあと、再びその前まで歩いてふすまに手をやる。



………AVなんていつぶりだ?


最後にどんなシチュエーションのものを見たか、どんな女優だったか……。


思い出そうとすると、途端に桜の赤らんだ顔が頭に浮かんで妙な罪悪感を感じた俺はこめかみの辺りを掻いた。



禁煙も相まって欲求不満で頭がイカれて来ている。



「ったくっ……バカがうつった」



閉まっているふすまから手を離した俺はそう独り言を言いながら再びその場所から離れた。



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