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第25章 ち持け掛 章72第



「久々……ですね」


「そうですねー。カフェで達也さんに振られちゃった以来かなぁ」


「……………」



……………気まず。



返事に困って無意識に胸ポケットを叩くがどうすることも出来ず、謎に小さく頭を下げるとなごみがまたフフと笑った。



「ごめんなさい。意地悪しちゃった」


「…いやぁ……」


「ていうか、達也さん、タバコやめたんですか?」


「え…」


「くわえタバコしながらお酒作る姿カッコよかったのに」




ははと、適当に笑った俺は、なごみの空になったグラスを掴んで新しい酒を注ぐ。



「もう若くないんでね。体に気を使ってみよーかな、と」


「へー」と返事をしたなごみは俺からグラスを受け取ると、ジィーッと俺の顔を見つめてきた。


めちゃくちゃ美人ってわけじゃないが、何故か不思議と引き込まれるというか、色気のある女だ。


それでいて、パリッとスーツを着こなしていて、嫌味がない。


変な若作りもせず、自分に一番合う格好と立ち振る舞いを熟知しているかのような、そんな雰囲気がなごみには漂っている。




「あの女の子とうまくいったんですか?」


「…っ………え、あ…あぁ…」



あの女の子っつーのはもちろん桜のことを言っているんだろう。


確か最後に話した時、なごみにも、俺が桜のことを気にしてるのがバレていたんだった。






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