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第25章 ち持け掛 章72第



何を急にあけすけと話しているのか。


しかも、キレ気味に。



「葵、お前、失礼だろ」



そう葵にキツめに言うのと、なごみがクククと喉を鳴らして笑い出したのは同時だった。




「すっごいマウントっ……」


「…………すんません、あの、こいつちょっと変わってて」




チラと葵を見ると唇を引き結びながら、いまだに笑うなごみを見ている。


葵は誰にでも明るいタイプだと思っていたが、どうやらなごみのような女は好きじゃないらしい。


にしたって何かされたわけでもねぇのに、ちょっと理不尽だとは思うが……



葵の視線に気付いたなごみは余裕そうに笑みを返す。



「そんなに睨まないで。大丈夫、奪いたくても奪えないの、分かってるから」


「………………え…あ…」


「私結構前、ここに通ってたから。だから達也さんが、その『桜ちゃん』って子にゾッコンだって事は、知ってるよ」


「え……なーんだ………そうだったんですね。急にごめんなさい…」



ピリピリしていたと思ったら突然、和やかな雰囲気になった2人を見て、俺は頭を掻いた。



いつまで経っても女ってもんがよく分からねぇ。



「て、いうか、やっぱ付き合えたんですね〜。良かったじゃないですか」



思い出したかのように俺の方に向き直ったなごみは、少し切なげな笑みを俺に見せる。


こういう時、なんて言って返すのが正しいのか。


困りに困って、結局「どうも」とかいう謎の返事を返した。
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