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第26章 惑疑 章82第
もうそんな時間…か……?と慌てるが、外の様子からしてやはりまだ昼下がりってところだろう。
「随分早いな」
チラと桜の方を見るとやたらしっとりしたようなそんな目をしていたので、思わず胸が高鳴る。
久々の桜を前にやはり変に体が弾んでいる。
「今日は時間があったんで」
「時間があったなら、もっと体を休めた方がいいぞ」
思ったよりも元気そうで安心したが、やっぱりどことなく寝不足そうな顔をしている。
「大丈夫です」
桜お得意のセリフも何だか懐かしく感じる。
そりゃ急に素直になるわけもないだろうし、むしろこっちの方が安心するが……
「まぁ、無理はするな」
手を伸ばし、頭を撫でると桜は俯いたまま返事をしない。
「とりあえず、中入るか」
頷いたのかどうかもよく分からないくらい微かに動いた桜だったが、俺が店の中へと歩き出すと大人しくその後ろをついてきた。
カランと扉の音が鳴って、静寂に包まれる。
「それで、親戚のおばさん、とやらの具合は大丈夫なのか?」
歩みを進めながら、桜に話しかけると少し間があった後、桜は「はい」と返事をした。
「お蔭様で。あと数週間くらいで良くなりそうです」
「そうか」
カウンターの前で、振り返り桜の様子を見ながら、伸びをする。
快方に向かってるっていうなら良かったが……