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第26章 惑疑 章82第
桜の顔を注意深く見つめる。
今日は……少し化粧が濃い…?か?
寝不足を隠すためだろうか。
そんな桜の意図を見透かそうと長いこと見つめていると、桜はそれに怯えるように目をキョロキョロとさせた。
「俺は仕込み始めるけど…」
「………手伝いますよ」
「本当に大丈夫か? 寝不足な顔してるぞ」
はっきりとそう伝えると桜は「バレた!?」と言わんばかりに両手で自分の頬を触れた。
その態度と、否定しない様子から見てやっぱあんまり寝れてないんだろう。
「上で寝ててもいいぞ」
少しでも休ませてやりたい気持ちでそうは言ったが、桜のことだ、「大丈夫」と押し切るかもしれない。
そう考えてさらに返す言葉を考えていたが、桜は特に反発することなく俺に近付くと、いつになく弱々しく軽く寄り掛かってきた。
「桜…?」
予想の反対を行く態度に、正直戸惑いを隠せない。
……まぁでも、虚勢を張る余裕もないくらい疲れているのかもしれない。
人の世話っていうのは、神経を使うものだし…などと考えていると、桜はまたさらに俺の予想に反して甘ったるい声を出し始めた。
「久々に会えたから…」
「………………」
「近くに…いたい」
…………えーーっと…
俺の服の裾を掴みながら、桜が恥ずかしそうに顔を見上げる。
俺の中で何かが決壊して、ジワジワと体の奥底から湧き上がってきている。
しかも予想してなかったせいで、うまく言葉を返すこともできずにいると桜は追い討ちをかけるようにそのまま俺を強く抱き締めてきた。