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第26章 惑疑 章82第


「あ!!!」


「な、なに」


「もしかして、私お2人の邪魔しました!?」




突然の葵の言葉に、ぎくりと俺は体を震わせる。


ここで、「その通りだ。悪いがしばらくどっか行っててくれ」と言えたらどんなに楽か。



「ぜ、全然」



バレバレなようで手を振る桜を見て、葵は「ならいいんですけど……」と言葉を続ける。




「まぁ、お2人とも大人だし、流石にお店でいちゃついたりっていうのはないかぁ」



「っ…………」



「バイト前、久々に会った彼氏とカウンターで……とか、ちょっとドキドキしちゃうシチュエーションですけどね」



やっぱ葵見てたんじゃねぇのか……


チラと桜の様子を見ると「おっしゃる通り」と言わんばかりに耳を赤くしてるので、俺は「はぁ…」と小さくため息を吐いた。



「…………バカなことをいうな…。ガキじゃねぇんだから」




自分でも、何言ってんだと思う。


葵が来なかったら、桜をここでめちゃくちゃに抱いてただろう。



「ですよねぇー。いや、やっぱ大人って違うなぁ。学校で聞く話ってホントみんな猿なの!? ていうような信じられない話ばっかりなんで……」



猿……か…



返す言葉もなく2人して黙る。



そして、居ても立っても居られなくなったのか、桜は突然葵に背を向けた。



「じゃ、わたし着替えてきますねー」



呑気な葵の返事に桜は、「切り抜けた…」とばかりにホッと息を吐いていた。
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