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第26章 惑疑 章82第
そろそろ限界だ。
挑発に乗るのは癪だが、これ以上桜にベタベタされんのはもっと癪だ。
はぁ、と小さくため息をついた俺は、いい加減にしろと北野に声を掛けて阻もうとしたその時だった。
「えー? なんで? 昨日は一緒に飲んでくれたのに」
「っ…………」
………は…?
昨日、一緒に飲んだ、だ??
突然の北野の発言に桜も大きく動揺すると、俺のことが気になったのかチラとこちらを不安そうな顔で見てきたので、俺はその表情にさらに不安になった。
「店長…っ……あの、違くてっ……」
分かりやすく慌てる桜を俺は片眉を上げながらじっと見つめる。
「北野悠が適当な事を────」
「────── あれ? 悠って呼ぶって昨日約束してくれたじゃん」
「っ……………」
北野に言葉を遮られた桜の顔から血の気が引く。
そんな桜の反応からして、北野の言ってることが本当なんだろうってことが分かるのがしんどい。
「分かったからっ……黙って……っ」
「『悠、お願い』でしょ」
「っ………悠、おね、がい…」
状況からして、北野は何か桜の弱みを握ってるんだろう。
桜はバツが悪いのか、怯えた様子でこちらを見ようとしない。
俺にバレたくない弱みなのか……? そんなこと…あるだろうか。
「桜ー?」
「………なに」
「今度また『熱く飲み明かそう』」
「っ………訳の分かんないこと言わないで」
明らかに俺への当てつけだ。
北野にギュッと手を握られながら、桜はようやく不安そうにこちらをチラと見てきた。