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第4章 店お 章3第
わっ…と小さく声を上げた桜がよろめく。
転ばないように。そう思ってさらに力を入れると、桜は俺の胸に手を付いた。
ったく、世話が焼ける……
またふわりと鼻を掠めたジャスミンの香りにさらに腹が立ったが、客の手前、俺は無理に満面の笑みを向けた。
「申し訳ないけど、こいつ勤務中なんで」
突然現れた俺に男は全く動じていない。
グレーのスーツに短い黒髪。
会社勤めなんだろうけど、何となく遊び慣れているような雰囲気が漂っている。
しかも年が桜と同じくらいでそれにもムカついた。
「……それは失礼」
余裕そうにそう言葉を返された俺は、その男とは逆に、突然現れた俺に驚いている桜の頭を掴んだ。
「いえいえ。勤務中に怠けてるこいつが悪いんですよ」
そう言いながら、ちょっかい出してんじゃねぇと目で威嚇すると、それに気付いたように男は笑って、目の前の酒を飲み干した。