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第5章 ナンパの女



「年は……30歳半ばって感じ…?」



「ご名答…すね」




ズバリ言い当てられて、そういうとなごみは、やっぱり!と言いながら手を叩いた。


なんか……複雑だ。


まぁ実年齢より上に見えてないだけマシなのかもしれないが。




「私今年34なんで同じですね!」



「そう…なんですか。まぁ俺は36ですけど」




年下と知って、敬語を使うのも変な気がしたが、まぁ客だしそれは崩さないようにした。




34か…



チラと先ほどもらった名刺を見ると、訳の分からない役職名の中に、営業の文字が見えた。



通りでこぎれいにしてる訳だ。



そんなことを思っていると、なごみは身を乗り出して俺の顔を覗き込んできた。




「達也さん…今度ご飯行きません?」



「─────…」




あまりに直球な誘い。



その艶めく視線から何となく分かってはいたが、ここまで展開が早いとは思っていなかったので、俺は言葉を返せずにいた。





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