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第5章 ナンパの女



閉店後、



突然電話が鳴って、俺はポケットからスマホを取り出した。



もう12時を過ぎたその時間。



誰だ…



不審に思って画面を見たら、母親からで少し嫌な予感を感じながら俺は電話に出た。





「……うい」



『達也。今大丈夫?』



「ああ…」



返事をしながら、俺はカウンターに腰掛けた。




『お父さんがね……』



「………おう」



『ちょっと、倒れちゃってね』



「はぁ?」




つい先日会ったばかりの親父の顔が浮かんだ。



倒れたって…なんだよ




「大丈夫なのかよ」



俺の質問に、おふくろは冷静な声で、「命に別状はないんだけど…」と答えた。



『まぁ……年かしらねぇ…。それにほら、お父さん、辛くても何も言わないでしょ』




この前みた小さくなった背中。



親父は昔から頑固だし見栄っ張りだから、きつくてもそれを言葉に出さずにいつも仕事をしてる。




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