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第6章 子迷 章6第


そして、桜は静かに口を開いた。



「私……大好きな…お姉ちゃんがいるんです」



「おう……」




確かに、見るからに妹って感じだよな。




「お姉ちゃんと同い年で…和明(かずあき)っていう幼馴染がいて……。『かずにぃ』って呼んでるんですけど…」





そいつの名前を口にしたとき、桜の顔が歪んだのが分かった。


直感的に、その男が桜の苦しみの原因だということを知る。




「あと……樹(いつき)っていう幼馴染がいて……私とお姉ちゃんとかずにぃと樹の4人でよく遊んでました」



「うん」






「ずっと昔から……私はかずにぃが好きだったんですけど……」




そこまではよく聞く話だと思った。



だけど…





「っ……でも……かずにぃは…お姉ちゃんと結婚しました」



「─────……」




俺は相づちを打つ事を忘れてしまった。


好きだったやつが……義理の兄貴になったって…ことか。




「結婚式、お姉ちゃんは本当に綺麗で…──」




そう言いながら、桜は遠くを見つめる。



その時の事を思い出している。




「幸せそうだったから……諦めたのにっ……」




突然言葉を詰まらせた桜の背中にそっと触れた。




「桜……」



「っ………」



「ゆっくりでいい」



いつまでだって待ってやる。



俺は逃げたりしねぇんだから。


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