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第6章 子迷 章6第


差し出したマグカップを掴んだ桜は、ゆっくりとそれを飲んで大きく息を吐いた。



俺も二本目のタバコに火を付けながら、桜の様子を見守る。



すると桜は、意を決したように、口を開いた。




「お姉ちゃんは…その後、事故に遭って……っ」



「…………」



「もう2年前から…ずっと眠ったままです……いつ目覚めるか…分かりません。もしかしたら一生っ……」



2年前……




ふと、桜が面接に来た時の事を思い出した。



活力や生気、そういったものが全く感じられなかったあの姿…





あの時にはもうすでに、桜の姉貴は、事故に遭っていたのだろうか。




「かずにぃは…事故は自分のせいだってずっと自分の事を責めてました」


「…………」


「私……2人が幸せになってくれたらっ…そしたらもう良かったのに……っ。なのにっ……」


「……桜…」



話して欲しいと、何度も思った。



でも、こんなにも苦しそうなのに、そうさせることが本当に正しいのか、分からなくなってきてしまった。





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