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第6章 子迷 章6第
もういいから、と阻みそうになったところで、桜は片手を自分の喉元に当てた。
「……声がね。『薫に似てる』って……」
「………」
「そうやって言うんですっ……ずっと……ずっと好きだった人がっ……」
はらりと、静かに桜の頰に涙が流れた。
薫というのは、きっと桜の姉貴の名前なんだろう。
「だから私……かずにぃに…」
「────…」
「『目隠ししたら、私の事お姉ちゃんだと思って、抱ける?』って……」
「…っ………」
全部受け止めてやりたい。
だから俺は何も言わずに黙った。
でも…正直もう聞きたくねぇと思ってしまった。
「私から誘ったんです…」
「……………」
2年前の面接。
俺は桜に動機を尋ねた。
──────店名が……今の自分に……あってるかなって……