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第2章 面接
「開けるぞ」
「……はい」
思わず微笑みながら、俺は、店を開けた。
今日は平日。
だから人はそんなに来ない。
まばらに、いつも見知った人が立ち寄っては、いつも通りの酒を注文してくる。
「店長、あの…」
「はい、これっしょ」
オーダーを伝えにきた桜が、オーダー名を言う前に俺は酒を渡した。
「え……」
「いや、常連だし、いつも同じもん頼むから、作っておいただけ」
俺にしたらいつも通りのことに、桜は驚いた素振りを見せたあと、小さな声で、すごい…と呟いた。
「いいから、持ってけって」
「あ……はい」
我に返ったように、グラスを掴んだ桜は、そのまま客の方へと消えていく。
その健気な姿を見て、また俺は無意識のうちに微笑んだ。