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第6章 子迷 章6第



「その、樹とかいう幼馴染も、解放してやれ」



和明には惚れてるかもしんねぇけど、樹は違うんだろ。




「どうしようもなく寂しくなって、耐えられなくなったら──」



溢れ出る想い。


抑え込んでも、どうしようもない。





「そいつのところじゃなくて俺んとこ来い」




言ったあとで、下心を否定出来ない自分に少し腹が立った。



でも、桜は今日、和明んとこでも、樹んとこでもなく、ここに来た。



寂しいって理由で、好きでもないやつに体を許すくらいなら、俺んところでこうやって感情をさらけ出して…そんで紅茶飲んでる方が、全然いいだろ。



桜は、俺のことを見上げてたあと、ぎゅっと口をつぐんでコクっと大きく頷いた。




「……よし」




それが異様に嬉しくて、思わず口元を綻ばせていると、桜は力の入っていた肩を落として、少しだけ体をぐらつかせた。




「おい、大丈夫かよ」




泣き腫らした赤い目の下には、クマが出来ている。






「寝てないんだろ?」




そう尋ねると桜は、小さな声で、はい…と答えた。






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