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赤い花~情欲の檻~
第3章 MemoriesⅡ
 ふと、そんな祈りにも似た願望が湧き上がる。美華子がしばらく経って閉じていた眼を開いた時、漸く車は大通りに出たらしく、街の灯りが両端を掠めてゆくようになった。腕時計を覗き込むと、時計の針は十時前になっていた。
 いつもなら十一時過ぎに自宅に着く。その時刻なら、間違いなく両親は寝ているはずだが、今の時間はまだ起きているかもしれない。こんな気持ちのままで親の顔を見るのは辛かった。できれば、今夜はこのままベッドにもぐりこんで眠ってしまいたい。
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