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赤い花~情欲の檻~
第2章 MemoriesI
「私が離婚したのなんて、もう三十年も前の昔だけど。当時、私は営業にいてね。そこの同僚と付き合ってたのよ。むろん、まだ旦那もいたわ。もちろん、旦那と別れたのはそれだけではないけれど、やはり、不倫してたっていうのも大きな原因だったの。私たちの恋は結局、長くは続かなかった。社内恋愛は禁止だっていう社則に触れたんだから、当然よね。その時、私は離婚調停中で、相手の人はこれから女一人で子どもを育てていく私のことを考えて、自分が身を退いてくれたの。ここを私が止めるのは大変だと思ったんでしょうね。その人にも奥さんや子どもがいたのに」
いきなり私的な過去を持ち出され、美華子は相槌を打とうにも打てず、困惑した。
いきなり私的な過去を持ち出され、美華子は相槌を打とうにも打てず、困惑した。