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赤い花~情欲の檻~
第2章 MemoriesI
 先刻の安浦沙織の科白が、ふと耳奥でリフレインした。
 本当に彼は私には勿体ないような良い男だ。その事実に誇らしさや歓びよりも、むしろ軽い喪失感を憶えたことに、美華子は我ながらショックを受けていた。
 私の彼は自他ともに認める、私にはふさわしからぬイケメン。
 そんな自嘲めいたことを考えている中に、先に祥吾が気づいたのか、こちらを見て軽く片手を上げた。
「よう」
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