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赤い花~情欲の檻~
第2章 MemoriesI
 肩を竦めて見せると、祥吾が形の良い眉をひそめた。
「どうした、何かあったのか? 顔色が悪いようだけど」
「安浦先輩に呼び止められて」
「安浦? ああ、あの商品企画部の部長か」
 祥吾は頷いた。
「何か言われたのか、あのお局に」
 祥吾のような現代的な割り切った考えを持つ男でも、沙織に対して〝お局〟なんて言葉を使うのだ。美華子は意外に思った。
「いやあね。お局なんて言い方は止めてよ。誰だって、好んで歳を取るわけじゃないのよ。それに、安浦さんは間違っても、お局なんて柄じゃないでしょ。姉御肌の面倒見の良い人だって社内でも有名だもの。後輩いびりとは無縁の人に、お局だなんて失礼だわ」
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