この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘党な愛
第11章 十一
パンケーキ店から屋敷へ帰ると、廊下で後嶋と擦れ違い様に出会った。
「藤咲さん、封筒出してくれてありがとう」
「おう!」
「……」
後嶋が普段の様に無表情な顔でお礼を言ってくると返事をするも、無言でじいっと顔を見つめられると不思議になる。何……?
「どうした?」
「そのマフラーって、八雲君のだよね」
「あ、うん」
質問した後に後嶋から言われると、八雲の優しさを思い出して一瞬ドキドキしたが。……そういえば八雲に返してなかった。返さないと。
「八雲君って優しいよね……本当は」
「本当はな」
「いつもアウトレイジってるけど、本当は」
「本当はな」
呟く様に話す後嶋の言葉に、パンケーキ店での八雲の姿を思い出しながら何度もうんうんと真剣に頷く。サングラスを掛けてパンケーキを食べる八雲の姿は、周りがひく程異様だった。でもあの八雲の究極に幸せそうな気持ちは、甘党だから分かる。
「廊下で封筒落ちてたのに気付いて藤咲さんのところ持って行こうとしたら、八雲君が藤咲さんに渡してきてやるって言ったんだよね」
「っ!?」
パンケーキ店での八雲を思い出しながら頷いていたが、続けられた後嶋の話を聞くと呆然とした。