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甘党な愛
第11章 十一
* * *
「八雲、マフラーありがとう。返しに来た」
八雲の部屋の前に着くと、私はドアをノックしながら話し掛ける。――が、応答がなく、恐る恐るドアを開けた。確か先に部屋へ戻った筈だ。
「八雲……?」
開けたドアの隙間から中を覗くと、ベッドで仰向けになり眠っている八雲の姿が見えた。……やっぱりいる。でも寝てる。
「……」
起こすのも悪いし、また後で返そう。そう思いながらドアを閉めようとした。が、
「えっ!?」
後ろから誰かに思い切り押されて、部屋の中へぽーんっと吹っ飛んだ。何だ……!?一体誰が……!そのまますぐ床にへたり込んだまま後ろを振り返るが、外からドアを閉められてフリーズする。
「何だ……?」
独り言を呟いている間にドアの隙間からA4サイズの白い紙が差し込まれたことに気付くと、呆然としながら手に取った。