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甘党な愛
第11章 十一

 動画にはきっと私が八雲へキスしている光景が写っている筈だ。それを見て八雲が許す筈がない。あの世送りにされるのは間違いない。

「……」

 動画を見ながら無言の八雲。しかし、急にビデオカメラを鬼沢さんに渡して、部屋から出ていく。すると、鬼沢さんが仕方なさそうに首を横に振った。

「消されてますね……」

 八雲、ビデオの内容見たのか……。どうしよう。確実怒ってる。

「っ……」

 私はそのまま八雲を追い、急いで廊下へ出た。そして、

「八雲、待って」

 目の前にいる八雲へ声を掛ける。此方を振り向いた八雲は不機嫌そうで、冷たく返事をしたが。

「……何だよ?」

 不思議とパンケーキ店での八雲を知っているからか、前より怖くはない。全然怖くないわけではないが。

「その……ビデオ、見たか?」

「見た」

「申し訳ない……!罠とはいえ、衝動的にしてしまった!許してとは言わないが……」

 殴らないで。そう言うつもりだったのに、先に話した八雲の言葉にかき消される。

「お前、処女だったよな?」

「……」

「キスの仕方知らねーのか?」

 冷たく私を睨み付けながら此方へ歩み寄ってくる八雲。殴られる……そう思ったのだが。

「練習するか?俺と」

 真剣にじっと見られたまま質問されると、私は慌てた。

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