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甘党な愛
第12章 十二
「そ、それなら、もう脱ごうかな……。着替え、部屋にあるから……」
照れながら私はいそいそと部屋から出て行こうとする。だが、しかし。
「ダメ。行かないで」
鍵に触れた私の手の上へ葎が右手を重ねてくると、途端に冷や汗が滲み出す。……行かないでって。
「葎……?」
「俺、欲情しちゃったかもしれない……」
後ろから耳元に囁かれる甘い声。かもしれないってまたかい。しちゃったのか、しちゃってないのかどっちなんやい。
「椿さん……」
そのまま首筋に触れる暖かい何か。それが葎の唇だと分かったのは、静かな部屋にちうっとリップ音が響いたからだった。
「っ!?」
欲情しとるんかい――……